小は大を兼ねるという美学

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オリンパスのキャンペーン[1]を利用して、新しいレンズを購入した。60mm F2.8 Macro。

http://olympus-imaging.jp/product/dslr/mlens/60_28macro/index.html

フォーサーズからマイクロ・フォーサーズへ移行してから、フォーサーズのレンズはマウントアダプタを介して引き続き使っていた。50mm F2.0 Macro もそのひとつで、約6年使い続けてきた。大変気に入っていたレンズで、徐々にマイクロ・フォーサーズレンズへ更新してきた中、最後まで残っていたフォーサーズレンズであった。これをついにマイクロ・フォーサーズ規格の 60mm F2.8 Macro へ置き換え、私のカメラシステムとしては完全にマイクロ・フォーサーズへの移行が完了したことになる。画角も明るさも違うので厳密には置き換えとはならないが、まぁ使ってみた感じ慣れの範囲かなという印象。できれば明るさは F2.0 のままが良かったが、それよりも 60mm F2.8 Macro の小型化・軽量化のほうがメリットが大きいと判断した。

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左が 60mm F2.8 Macro(別売のレンズフードも着けている)、右がマウントアダプタを取り付けた状態の 50mm F2.0 Macro。レンズ長はほとんど変わりないが、太さがまったく違う。この写真で見るよりも実際にカメラに取り付けると結構衝撃的な小型具合である。初めてお店で見たときは「ほんとにこんなにちっちゃくてちゃんと撮れるの?」と思ったほどだ。
重さについてはそれ以上に劇的で、上の写真の状態で 60mm F2.8 は 230g 弱、50mm F2.0 は 380g 弱であった。


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「シンプルに生きる」(ドミニック・ローホー著、ISBN:9784344018556)という本でこんな一文があった。

新規に購入するものは、かさ、重さ、大きさにおいて小さいものにする

言うまでもなくそれはケースバイケースで、例えば液晶モニタとか、居住環境そのものだとか、包丁など調理器具といったものは小さいほど良いというわけではない。大きさや広さそのものが効率性や快適性に繋がるからだ。だけど、目的が物理的な大きさから享受される結果で達成される類のものでない事柄について言えば、多くの場合この考え方は有効に働くように思える。機能性や効率性が同じか、妥協できる範囲内の差であるならば小さければ小さいほど良く、そして美しい。某こなたも言っている。それはステータスであり希少価値である。うむ。
この本は結構「そうだよね」と納得できる点が多く読んで良かった本。もちろんすべてに於いて賛同できるわけではないが、根本の部分は共通の価値観で、「シンプル」という美学に惹かれる人にはいい教科書になると思う。

カメラの話に戻ると、マイクロ・フォーサーズ機の E-M1 に移行してせっかくカメラ自体も小さくなったのだから、手持ちのレンズも少しずつ置き換えていこうと思ってから2年弱、満足のうちに移行完了となった。

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左から M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO + 1.4x テレコン、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO、M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro。
35mm 判換算で、それぞれ 112-420mm(テレコン込み)、24-80mm、120mm となる。手持ちのレンズはこれだけとなった。

超広角レンズや魚眼レンズも持っていたが、PRO シリーズで開発中であるとの発表があった時点で売却した。それから日が経ち、それらはもう発売されているのだが、まだ購入はしていない。自分の撮り方だと超広角や魚眼は流星撮影や海に行ったときくらいしか出番がなく、なかなか撮影頻度が上がらない。PRO シリーズは素晴らしいレンズ群なのでいつかは欲しいが今のところはまだいいかなと思っている。

とにかく 12-40mm F2.8 PRO が万能すぎる。隙がない。以前は単焦点派だったけど、このレンズで認識を改めた。マクロっぽい寄り方もできるし、広角端では十分広い。これが一本あれば本当に十分という気はする。あとは何に特化したいかだけで良い。自分は花を撮るのにやはりマクロが欲しいのと、月や星雲、遠方の花火を撮るのに望遠は欲しい。

初めて一眼レフやミラーレスなどレンズ交換式カメラを買う人にアドバイスするとすれば(野鳥が撮りたいとかの明確な目的がなければ)、標準ズームとマクロの2本がいいと思う。標準ズームはできれば低価格帯のではなくちょっといいランクのものにすると長く使える。マクロはコンパクト機や携帯電話のカメラでは撮れない「これぞ」という画が撮れる。日常生活の中で活躍の場も広いので、花も料理も物も撮らないという人でなければ、初めてのレンズにしてもいいほどだと思う。

以下、新しい 60mm F2.8 Macro で撮ったもの。

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レビューでも見かけたが、レンズフードは別売じゃなく同梱がいいと思う。40-150mm F2.8 PRO のフードもそうだが、この伸縮式のフードは大変良い。便利すぎて泣ける。

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