人の歩みを変えたくば、ただ一石を置けば良い

20151223

Google Play Music の月額定額サービスを契約して2ヶ月が過ぎた。自分としては新しいサービスに飛びつくのは滅多にないことなので、今年9月に始まった同サービスを既に利用していること自体が珍しい。
利用開始した理由は簡単で、10月18日までに手続きすれば、980円の月額利用料がずっと780円になるというキャンペーンにつられたからである。どんな曲が聴けるのかも分からないまま、初月は無料ということも手伝ってとりあえず登録してみたわけだ。

https://play.google.com/music/listen?u=0#

http://internet.watch.impress.co.jp/docs/column/trendsv/20150930_723214.html

結果、ここまで影響力を持つとは思わなかった。思いつくままに感想をリストしてみる。

  • まず、今まで聴きたいと思っても買ってはいなかった作品を聴くようになった。
  • 興味ある作品はまず Google Play Music にあるかどうか確認するようになったので、CD を買うことが非常に少なくなった。
  • 音質もまったく不満のないレベルなので、ハイレゾ版を優先して買うということも今のところない。
  • 自分のオーディオシステムはオーディオ専用 PC をプレイヤーとしたものなので、ブラウザ経由の Google Play Music と相性が非常に良い。俺氏先見の明がありすぎ。
  • Google Play Music を利用するブラウザは Google Chrome が安定している。動作も軽快。普段 Google Chrome は利用していないので、自分的には Google Play Music 専用ブラウザといったところ。
  • 手元の音楽ファイルをアップロードしてどうこう、という機能は利用していない。スマートフォンで聴くという機会がないから。自宅内ではファイルサーバに音楽ファイルがあるので、元々どのパソコンからでも聴くことができる。つまり音楽を聴くのはローカルの foobar2000 かウェブの Google Play Music という2択。
  • と言いつつ、たまに寝るときに枕元にスマートフォンを置いて音楽をかけることがある。当然ライブラリが同期されているので便利。
  • トップチャートの対象地域がどうも日本から変更できない。接続地域で判断しているのか言語を英語に設定しても変わらず。日本で何が流行っているかなんて素粒子ほども興味がないので、頼むから米国とか英国、またはワールドワイドに設定できるようにして欲しい。
  • 邦楽を除外したポップやロックのヒットチャートラジオがあれば聴くかもしれない。
  • アルバムをライブラリに登録できるが、アーティストを登録できると良い。

もちろんすべてのアーティストが配信されているわけではない。けれども気になったアーティストを検索すれば「だいたいは」出てくる。洋楽好きであればなおさらヒット率は高いはずである。

ちなみにオーディオ PC は以前のものから改善を経てこのような構成に落ち着いている。

OS: Windows 8.1 Pro 64bit
APU: AMD Athlon 5350 (4Cores / 2.05GHz / TDP 25W) ※Alpine M1-Passive
MB: MSI AM1I
Mem: DDR3-1333 8GB
SSD: Kingston SVP100S2 64GB
SoundCard: Onkyo SE-300PCIE
LAN: 有線
PSU: Mini-Box picoPSU-90-XLP + 108W ACアダプタ
モニタ: GeChic On-Lap 1502I

不具合が処理能力ではなくネットワークに起因するものだと判明したので、APU は非力なものに、LAN は無線をやめて有線にした。


取るに足らない石が自分の前に現れただけかもしれない。それでも人はそれを避けようと行動に変化が生まれる。一石が人の歩みを変える。
同じようにひとつのサービスが、生活を大きく変えることがある。思い返すと私の場合は以下に紹介するサービスの影響が大きかった。

ひとつはバンダイチャンネル。

http://www.b-ch.com/

アニメの配信サービスである。これも月額会員になっているが、このおかげでアニメをよく観るようになったし、「気になった作品はとりあえず買って観てみる」というもったいない消費行動をすることがなくなった。私は録画機器を持っていないので、よくアニメファンがしている「テレビのアニメ放送を録りためて観る」ということをしない。観たいならリアルタイムで視聴するか、買うかであった。リアルタイムで視聴と言ってもテレビがないので、チューナーを内蔵したドロイドタブレットである。

もうひとつは DMM のレンタルサービス。

http://www.dmm.com/rental/

艦これでいつも利用している DMM だが、様々なサービスを運営しており、レンタルもやっている。月額レンタルサービスに入会したら思いの外便利だった。前述の音楽と同じで、買うしかなかった自分と作品との接点がガラッと変わり、まずはレンタルできないかチェックするようになった。結果よく映画を観るようになったし、音楽に至っては、

  1. Google Play Music で配信されているか
  2. DMM でレンタルできるか
  3. 買う

という3段階認証のような体制になってしまった。なぜ元々レンタルが選択肢になかったのかというと、地元にレンタルショップがないからである。だから自分の人生においてレンタルというのは馴染みがなかった。
DMM のレンタルは非常に便利で(他のウェブでのレンタルサービスも似たようなものだとは思う)、郵便で送られてきて、返すときは元の封筒に入れてポストに投函するだけで良い。送料もいらない。
たまに観たいとか借りたいというなら単品レンタルでいいと思うが、ある程度(タイトルを全部思い出せないくらいに)興味ある作品が溜まっているなら月額サービスのほうがいいかもしれない。年契約ではないので、やめ時を選ばないのも良い。


「水の低きに就くが如し」という孟子の言葉がある。水が低い方へ流れていくように、自然の流れや成り行きは止めがたいということだ。攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG では、これを引用したクゼのこんな言葉がある。「水は低きに流れ、人もまた低きに流れる」。人は自分が望むものだけを望み、見たいものだけを見る。自覚しない欲にいとも簡単に流されてしまう。その透明な欲をあたかも公然の事象のように錯覚してしまう。
アナキン・スカイウォーカーは運命を見てしまったが故にその運命を自ら引きよせてしまった。運命から逃れようと選んだ道こそがその運命への道だったのだ。

自分の生活がちょっとしたことで一夜にして変わってしまうのを見るたびに、私はこの事をぼんやりと考える。自分は水に浮かぶ木の葉のようなものなのだろうかと。それに抗うことは果たして運命に従うことなのか反することなのか。運命というのは後出しじゃんけんのようだ。こうすればそれが運命だったと言われ、抗えばそれが運命だったと言われる。とても勝てる気がしないのだ。

そんなことを思いながら雨の夜に音楽を聴いている。Google Play Music で。

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