翠おち 茜のる この一皿
この秋冬で作った中での思い出の一皿を。
まずは今年も紅玉でタルトタタン。いつ作っても美味い。母上の好物でもある。
ところで表題の句は、青々とした季節が去ってしまったと憂えていたら、実りの色がやってきたことを詠んだものである。作者は夏好きであるらしい。というか早く夏来てくれ。
簡単なものほど難しい、というのはどんなことにでも言えると思うが、俳句はその最たる例ではないだろうか。俳句は文学の究極の形態のひとつだと思うのだが、本当に難しい。だいたい何が良くて何が悪いのかすらよく分からない。素直に詠めばおもしろみがないといわれ、ひねれば作りすぎといわれる。素人にはまったく掴み所のない芸術分野のひとつである。
同じものを英語で詠めばこんな感じになるのだろうか。
The sky has been missing blue leaves,
And scarlet comes in fields
Then it rides on a dish.
英語の俳句というのもよく分からない。それは俳句なのか…? といつも反応に困るのだが、俳句ではなく Haiku なのだと言われれば、「ふむ…」と相槌を打つしか得心の居所がないのである。
林檎が見えていないが、アップルクランチ。これも美味い。
こちらも毎年恒例の芋ごはん。賽の目に切ったサツマイモを塩茹でし、炊いたごはんに混ぜてゴマ塩を振るだけ。
これは「ホウボウ」の干物。自分へのお歳暮に今年は銚子の干物セットを買った。今までホウボウは食べたことがなかったのだが、これは美味い。ぷりぷりとした身に上品で豊かな旨みがある。
見たこともなかったので検索してみると、その大きく鮮やかな鰭はまるで蝶のようである。すごい。
cf. https://ja.wikipedia.org/wiki/ホウボウ, https://www.bing.com/images/search?q=ホウボウ
それにしてもやはりギフトになるような干物は美味い。年に1、2回なら十分にアリである。とは言っても【ホウボウx3/サンマx2/アジx2/赤魚x1】が入って3500円だったから食べたあとでは「こりゃお得だな」という感じだった。
小説家の いしいしんじ は、ある魚屋の干物がものすごく美味くて、これを毎日食べたいと思いそこに移住したというエピソードがある。神奈川県の三崎である。
尤も彼は自炊を始めた頃、干物の焼き方さえ知らず、とりあえず割り箸に刺してコンロで焼いてみたものの真っ黒。どうしたものかとコンロを改めて眺めるとそこに「引き出し」を見つけて、これは魚を焼くのにちょうどいいぞとやってみるとまた真っ黒。何度かそんな試行錯誤をして上手に焼けるようになったという[1]。
これを読んだとき、私は正直「いくら干物が美味いからってそこに移住するかな」と訝しく思ったのだが、本当に美味い干物を食ってみると分かる気がした。これが手頃な価格でそのへんの魚屋にあるというなら、それは移住するに足りる理由のような気がする。食べ物の力は強い。
これはニューコンミートを使った一品。
今晩のおかず作ったぞい。
1. じゃがを太めの千切りにして下茹で。ピーマンも太さを合わせて千切り。コンビーフはさいの目に切っておく。
2. ピーマンを強火で炒め、焦げ目をつけつつコンビーフ・じゃがを加え炒め和える。粗挽き胡椒・ソースで味付け。#ノザキのコンビーフの食べ方 pic.twitter.com/VP2r0WIpUL— Non (@ichijo) October 12, 2017
ノザキのコンビーフがよく知られているが、以前「ニューコンビーフ」として売られていたものが今では「ニューコンミート」と改名して売られている。なぜ変えたのかというと、品質表示に関する法律改正の影響で牛肉 100% でない缶詰が「コンビーフ」と名乗ってはならんとなったからである。牛肉以外の肉を使ったものは「コーンドミート」となり、さらに牛肉と馬肉を使った上で牛肉の重量割合が 20% 以上のものは「ニューコーンドミート」または「ニューコンミート」と表記することができるとされた。
そもそも「コンビーフ」とは Corned Beef であり、これは「塩漬けの牛肉」のこと。Corned は「塩漬け」を指すが、この Corn はトウモロコシのコーンである。この語はトウモロコシだけでなく穀物全般を指す。さらに昔は「粒状のもの」を指していた。つまり岩塩を砕いた粒状の粗塩で漬けることを Corned、それが「コンビーフ」の名の由来というのだからおもしろいものである。
肉団子の赤橙炒め。トマトは夏じゃね? と思うが、しかたない。ドライトマトなどを使えば季節感もぴったりかもしれない。
「赤橙」とは やなぎなぎ のコンセプチュアルライブであるカラーパレットシリーズの orange にて恒例のカバー曲コーナーで歌った ACIDMAN の「赤橙」で知った言葉。いい響きである。
なぎさんは当初ライブのテーマカラーをオレンジにするか赤にするかで悩んでいた。そのときからカバー曲は「赤橙」に決まっていたという。なぜなら両方の色がタイトルに含まれているのでどっちになっても大丈夫、と。ライブでの MC より。
ちなみにカバー曲のもう一曲は SMAP の「オレンジ」だった。どちらも初めて聴いた曲だったがとても良かった。