香川に初ログイン
初の香川へ。というか四国に上陸するのが初めて。なかなか縁がなかったので、香川どころか四国に対するイメージとしては「みかん」「うどん」「水不足」くらいのものであった。四国4県の位置関係すらあやしい。香川?左上じゃなかったっけ、というレベルである。もうほんと申し訳ない。香川は右上だ!
讃岐というのは香川の旧国名。あとで知ったことなのだが、香川県は日本全国の都道府県で一番面積が小さい県である。沖縄じゃないのと思ったのだがとんでもない。小さい順に、香川・大阪・東京・沖縄・神奈川。意外というか沖縄と神奈川が順位で隣同士なんて思いもしなかった。ちなみに神奈川と香川は「な」があるかないかの一文字違い。一文字違うだけの関係は都道府県で香川と神奈川だけじゃないだろうか、たぶん。
そんな無知といってもいい状態で香川入りしたのだが、2日間の旅程という短いあいだではあったものの、本当に楽しめた。香川ヤバい、というのが私の感想である。
成田から高松空港へ、そこからリムジンバスで高松駅まで出る。そしてまずはレンタサイクル(貸し出し自転車)の申請へ。6時間までが100円、24時間までが200円。これは利用しない手はない。
高松の人は老若男女本当によく自転車に乗っている。街中も自転車を利用しやすい作りになっている。自転車走行用のレーンや表示、地下道への階段にはスロープ、自転車置き場も多い。2日間うどん店巡りや散策を満喫したが、その移動は自転車と徒歩のみで済んだ。本当に助かった。
何はともあれ、高松まで来たのだからまずは「うどん」である。うどん県を自称するくらいである。いかほどのものなのか。
まず記念すべき1杯目は「竹清」へ。
美味い。美味いとしかいいようがない。コシのある麺、ダシの効いたつゆ。私はもともと関東より関西のほうの味が好みなのもあって「これだ、これがうどんだ」という感じ。ものすごく美味しいのに、安心する。
竹清ではこのちくわと半熟玉子の天ぷらが人気揚げ物のツートップ。しかも揚げたてを堪能できる。美味すぎる。
高松ではうどん原理主義なのかと思いきや、そんなことは全くない様子。カレーうどんも人気らしい。「たも屋 女道場」のカレーうどん。麺を選べるが私は「釜揚げ」を。
まずはおすすめどおりこのままとろりとしたカレーをからめていただく。美味い。ごはんと食べるカレーではなくうどんに最適なカレー。半分くらい食べたら後半は熱いつゆをかけてまた違う風味を堪能。これはたしかに両方の食べ方を楽しみたい。
1日目最後は「手打うどん 麦蔵」のざるを。名物の「かしわ天」(とり天のようなものらしい)は売り切れ。
ここのうどんは本当に香りが良かった。今回7店舗で食べたが、麺は一番好きかもしれない。
2日目最初の一杯は「さか枝」でぶっかけ。「かけ」と「ぶっかけ」の違いは簡単に言えばつゆの濃さである。ぶっかけの場合つけつゆのような濃いめのつゆをぶっかける。だからつゆの量はかけよりも少ない。
これぞ「うどん」という王道の味。美味い。一日のスタートにふさわしい。
2杯目はあえて変化をつけて「手打十段 うどんバカ一代」の釜バターうどん。写真ではもう溶けているがバターがのっている。そして玉子をつぶして和えるとカルボナーラパスタのような一杯に。黒胡椒がいい仕事をしている。
イタリアンシェフの片岡護氏が初めてパスタを食べたのは、子どもの頃母がおやつにと用意しておいてくれたカルボナーラであった(母が勤め先の外交官のお宅からもらってきたもの)。すっかり冷めてしまっていたが氏はそれを食べて「なんておいしいんだろう。うどんに似ているけれど、ちょっと違うな」と思ったそうだ。(「パスタ歳時記」まえがきより)
この釜バターうどんはまさにその「うどんのようなカルボナーラ」の実現である。食べながらこのエピソードを思い出してしみじみしてしまった。片岡さんはこの一杯を召し上がったことはあるのだろうか。
続いての一杯は「一福 まちなか店」の冷やかけ。前夜のライブでなぎさんが食レポしていたお店。ライブ終演後は閉店していたので2日目に。美味い。ちくわ天も追加したのでおろしとレモンを合わせたら完璧。美味い。\ごちそうさまでした~/
香川に来て7杯目となる最後の一杯は「うどん市場 兵庫町店」でオリーブ牛とオリーブ玉子のしゃぶしゃぶ風うどん。高松からフェリーで行ける小豆島はオリーブで有名であるが、今回は行くことができなかった。次へつなぐ意味も込めてチョイス。
オリーブの実を搾ってオイルをとったあとの絞りかすを飼料にしてブランド牛や鶏など畜産へも展開している。香川、元気な県だなと感じた。横浜にはそういうつながりの力みたいなのってあるだろうか。
日曜日が休業日となることの多い製麺所では今回食べることができなかった。次回はぜひ製麺所にも訪れたい。
高松にはアーケードがたくさんある(総称して高松中央商店街という)。その中でも特に兵庫町商店街・片原町商店街・丸亀町商店街がぶつかる付近のアーケードはすごいお洒落。その中心のドーム広場には LOUIS VUITTON 、COACH、TIFFANY & Co. といったハイブランドショップが向かいあう。すごい一角である。
…のだが高松の商店街がおもしろいのは、その四天王とも言うべき十字路の一翼を「甘栗」のお店が担っている点にある。天津甘栗はまの。栗のジェラートなどもあるらしい。次来たときにはぜひ食べたい。
ハイブランドショップはすぐ隣の高松三越の出店なのだが、それにしてもヴィトンの並びにお茶屋さんがあったり、COACH の何軒か隣にはデイリーヤマザキがある光景というのは、ちょっと他では見たことがない。おもしろい。
夜や朝の人通りが少ないときはとてもフォトジェニック。
高松駅のすぐ北側は海。フェリー乗り場がある。クレーンがキリンみたい。
これは泊まったホテル、東横INN の室内にあった観光案内。どのホテルでも周辺の情報を紹介してくれているが、こんなに手の込んだのは初めて。これたぶん全部手作りである。ずば抜けたセンス。それに愛がないとできない。ちょっと感動したので思わず撮ってしまった。
高松の街を歩いてひとつ感じたのは、高松のことが好きな人が多いんだろうなということ。バス停のベンチに座布団がしいてあったり、あとでも紹介するジェラート屋さんが「良い一日を!」と声かけてくれたり、居酒屋に入ればメニューの中に観光情報を載せてくれていたり。破格とも言えるレンタサイクルだってそうである。わざわざ観光客用というデザインの自転車まである。デザインが違うだけではなくて、すごく綺麗にしてある(他の自転車に乗って違いが分かった)。観光客用の自転車には GPS がついているのだが、それだってより良くしようという考えの表れだろう(高松駅のレンタサイクル以外のポートでは観光客用のがなかったので貢献できなかったのだが)。
高松以外の街には行かなかったので他は分からないが、とてもいい印象を持った旅だった。うどん県なんて言ってるのも余裕の表れなのかもしれない。「うどん以外にもいいのはたくさんあるんですけどね、まあまずはうどんからどうぞ」みたいな。
休憩をとったのはカフェ・3びきの子ぶた。そこのベリーベリータルト。食べてみるとものすごく美味しい。調べてみたら果物店が営むフルーツパーラーとのこと。さすがだと思った。
その3びきの子ぶたの向かいにあるジェラート店・toi toi toi。店名はなぜかドイツ語だが意味は Good luck というか相手の幸運や無事を祈る言葉。3種類まで味を選べて300円。店員さんが「良い一日をー!」と声かけてくれる。店内もすごいお洒落だった。
高松に行ったらこのカフェとジェラートはぜひ。
夜は居酒屋「ふるさと」へ。
ハマチのお造り。ハマチは香川の県魚とのこと。脂ものっていてすごく美味しい。
「ビングシ」という魚の塩焼き。おそらくその大きな背鰭を鬢櫛に見立てたのだろう。初めて食べたがこれが美味。脂ものり味も実に良い。
讃岐コーチン骨付き鶏。こちらでは骨付き鶏が有名らしいのだが、このお店では讃岐コーチンを味わえる。
美味いよ。美味いに決まってるよこれは。骨までしゃぶりついた。
その骨付き鶏に合うと紹介されていた「讃岐くらうでぃ」という濁り酒。日本酒としてはアルコール分が 6% と少ない。これがほんとに爽やかなお酒でしっかりした味の骨付き鶏との相性が抜群。最高。
讃岐くらうでぃのラベルがかわいいのでもらってきた。イケてる。
お土産に買ったのがこの「しょうゆ豆」。居酒屋でのお通しで出て初めて食べた。翌朝のホテルの朝食でもあった。こちらの郷土料理らしい。炒った空豆を砂糖醤油に漬ける。煮豆ではないので、歯応えがある。甘すぎず辛すぎずでとても美味しい。
なお香川県の警察犬の一頭には「しょうゆ豆」という名の犬がいるらしい。今では警察犬を引退して介護施設でセラピードッグになっているそうな。
高松空港。またぜひ来たい。旅行するたびにその土地に住みたいなあと思うが、高松もそう感じた。
栗林公園にも行ったのだがそれはまた別記事で。
空港のロビーにあったソファ。うどんがなんでこんなところに落ちてんだ? 香川ヤバい。